ふりかけごはん

テニスの王子様のオタクがたまによくわからないことを書くための場所

初見で「これはない」と思ったはずなのにSWEP8TLJを9回見た話

【※SWEP8についてのネタバレが多分にあります。】

 

 

 

 

2017年12月15日、待ちに待ったエピソード8を見終わった時点での私の心には、プラスマイナスなところをなんやかんやで総合すると、正直なところ「これはない」という感想しかなかった。

これまで愛してきたSWという作品世界に、軽く失望すらしていた。

 

 が同時に、不思議と心が惹きつけられてしまっていた。

エピソード7を見終わったときに感じたあの興奮、爽快感と比べてしまうと、いったいなんなんだろうこのモヤモヤは……分からなかった。分からないから15日のうちにもう一回見てもよかったな、くらいの勢いは、何故だかあった。

 

 嘘のようだが、本当の話である。

 

そういうわけで気が付いたら9回見てしまっていた。(?????)

ので、世間的にはかなり酷評されている部類に入る今作について、自身がどう心の落とし所を見出したのか、記録しておきたいと思う。

 (reyloがヤバイということは感じて初回からすっかり沼に入り込んではいたが、「作品としてはどうなんだろういやこれはダメ」という気持ちはあった。それとこれとは別勘定でどうかひとつ、お願い致したい。)

 

 

何がどうして「これはない」と思ったのか。

思い出そうあの日。2か月前のあの日。

初回はとにかく、衝撃展開の数々を落ち着いて思い返すことで精一杯だったし、なにより最後の最後で突きつけられた「ルーク・スカイウォーカーの死」は、あまりにもショックだった。2つの太陽を見上げて逝くところで涙腺のダムは大爆発した。あそこでフォースのテーマは本当にズルい。もちろんその前にレイアのホログラムで第一次大爆発もしていた。

やはりルーク・スカイウォーカーはSWにとって、SWのファン(のわたし)にとって、「そういう」人物なのだ。彼曰く「伝説」で、憧れで、聖域だった。

 

そして、今作の公開前に最も注目されていたであろう「レイの出自」についての問題が大きかった。今までのSWの物語の流れからして、彼女は「フォースを使う誰かの血縁の者」だと思い込んでいた。「記憶は失っているがルークの娘」なのだろうと。スカイウォーカーのセーバーが選ぶのは当然スカイウォーカーに関係のある人間だという、その考えが甘かった。

彼女は何者でもなかった。だが選ばれた。その事実がすぐには受け入れられなくて、物語が終わるまで引っかかってしまった。

これについて、どう考えていくべきか?

突然、知らない物語を見せられたような感覚になってしまった。

 

 この二つが、主にモヤモヤの原因となっていた。

その他は挙げるとキリがない気もするが挙げていく。

まずポーが先陣を切ったファースト・オーダーのドレッドノートの撃沈作戦。結果としては成功したが、多くの犠牲を払ったのでレイアには「失敗」だと見なされた。命令に背いたポーは降格された。

これはEP4のデス・スター破壊、からのセレモニーをする華やかなラストと比べると、EP7のスターキラーベース破壊に喜ぶレジスタンスを背に、レイと静かにハンの死を悼み合うレイア、というシーン同様、結果だけを重視することは最早できない、近頃の時世を反映したものとなっている。のでこれは……仕方がない、ということにしておく。しかし失敗は失敗だ。EP8は、失敗から幕を開けた。

(同時にハックス将軍も最高指導者に怒られているので、FOサイドも失敗から始まっている。)

 

その後もレジスタンスサイドは失敗に次ぐ失敗の連続。フィンはこっそり逃げ出そうとして失敗し、ローズとカント・バイトに向かい目標にあと一歩というところで留置所入りになり、そこで出会った怪しいコードブレイカー、DJに最後には裏切られ、ポーも同じく裏で動いていたがホルド提督に楯突いた結果、ここまで長い尺を使ってやってきたことは全て「失敗」に終わる。

 

オク・トーでも同じく多くの失敗があった。

レイはフォースについての教え、レジスタンスの救済、目覚めたフォースの扱い方、自らの立ち位置を求めてルークに会うが、ルークはレイが思っていた人物とも、我々が考えていた「30年後のルーク」とも違っていた。ルークの説得にも、彼からジェダイのなんたるかを学ぶことにも、レイは失敗した。ルークも過去に自分が犯した「過ち」を語ることになった。

 

ベンがスノークを倒し、レイと共闘したシーンでは、ああやっとここでこの作品のたくさんの「失敗」が帳消しになる!と思った。

そうは上手くいかなかった。結果はご覧の有様である。なんなんだこれは。ここの辺りはレイの出自問題も含め、本当にもう……どうしてそうなる、となんかすごい渋い顔をしていたように思う。

 

そしてクレイトである。

レジスタンスのために命をかけようとしたフィンは生かされ、カイロ・レンはかつての師に勝ち逃げされ(いやこれは彼の2人目の父殺しを避けられて良かったと思うけど)、レイとレンの最後のフォースボンドは無言で断ち切られる……

 

 

こうやって簡単に振り返ってみてもEP8は本当に、映画としての爽快感に欠ける物語なのだ。なぜか。最後まで驚く程に、失敗だらけなのだ。失敗を積み重ねても、最後には上手くいく、そんなお約束であってほしい、観ている者の淡い期待は裏切られる。

 

だが思い出してほしい。ジェダイの聖木を雷で燃やしながら、若きスカイウォーカーにヨーダが何と言っていたか。

 

「失敗こそ最高の師」

「失敗も伝えよ」

 

そう、これこそが、EP8のテーマだったのである。

 失敗を積み重ねたことから、最後にはポーもフィンも、多くを学んでいたことが見て取れた。

迷いながらもダークサイドに身を寄せたカイロ・レンも大きな過ちを犯したことを分かっている。だからこそ、再会した師に真っ先に「俺を許しに来たのか」などと問う。「殺してやる」ではなかった。彼もまた、分かっているのである。

 

分かりやすい善悪も、勝てば全てが許されることもなかなか無い今の時代にそぐう物語に仕上がった、ということだろう。映画的な面白さとしては……ともかく。

そしてこのたくさんの失敗を受けて、次回作はすごいことになるのではないか、という期待をしている。ハンもルークもレイアも居なくなり(フォースの霊体はノーカンとする)(むしろヘイデンアナキンも出てほしい)、完全に新しい世代のSWがついに幕を開けるはずだ。わたしは喜んでそれに飛びつきたいと思う。SWは私にとっては、少し古くて、でも新しくて、どこか懐かしい、そんな大好きな作品であり続ける。

 

自分の中で折り合いがつけられたのはようやく3回目を見終えた辺りだったと思うので、今作を「正史から外せ」などという運動が起きていることを悲しく思う。が、それも致し方ないかとは思う。

 

だって諸手を挙げて面白い!とはとても言えないもの!!!!!分かってるよ!!!!!でも文句言う前に頑張ってもう一回見てみて頼むから!!!!!

 

 

 

 

……などと綺麗事も述べてみたがわたしは今まごうことなきreylo shipperなことも事実である。隠しようもない。

 

 

……そもそもエピソード7見た時は「レイちゃんさんあんなにカッコカワイイのにさあ~カイロ・レンなんなのめっちゃナードじゃんザコじゃんえらく優しいお顔してるけど」っていうどっちかというとカイロ・レンアンチみたいな気持ちでいたのにわたしはいったい何がどうしてこうなってしまったの????!????タスケテ……ワタシハ……モウダメダ……レイロ…………ハンペン……